ギリシャ(キクラデス諸島)旅行記2019

(最終更新:2019年10月5日)

2019年の9月に2週間ほどギリシャの島々を回った。訪れたのはエーゲ海の中央に位置するキクラデス諸島のサントリーニ島、ミロス島、シフノス島、セリフォス島の4つ。ギリシャ中で約3000、キクラデス諸島だけでも約200の島があるとされているが、その中でも絵の取材対象として面白そうで、かつ移動のしやすい(離れていない)4島を選んで滞在した。

画材は透明水彩一式。絵具はチューブタイプで水彩紙ブックはウォーターフォードとランプライトを持っていった。

滞在1日目〜4日目 サントリーニ島(Santorini / Σαντορίνη)

最初に向かったのはサントリーニ島。滞在先のパリからLCCのトランサヴィア航空で向かう。小さな空港だが、あちこちからひっきりなしに飛行機がやってきている。9月上旬だからまだ観光シーズンの真っ最中だ。フライトは2時間近く遅れたが、宿泊先の家主さんが空港まで出迎えにきてくれ、車で町中に向かった。

宿泊していた家。ホテルではなくAirbnbで探した民泊だ。カルテラドス(Karterádos)の町にある。観光地ではなく地元の人が住むエリアで、パン屋やスーパーマーケットが近くにあり便利な場所だった。家主さん一家は隣に住んでいる。近所のスーパーで水やビールを買い出して部屋の冷蔵庫にしまい、早速道具を持ってフィラの町へ向かう。

宿を出て街道を西に15分ほど歩くとだんだん旅行者の数が増えてくる。いつの間にかフィラ(Firá / Φηρά)の町に着いたようだ。島の首都である。お土産物屋やフローズン・ヨーグルト店などが軒を連ねるなか、ゆるやかな坂道を登っていくと開けたポイントに出た。

急峻な断崖の上に迷路のように家々がびっしりへばり付いている。崖はずっと遠くまで続いているようだ。今までに見たことのない種類の情景でしばし目を奪われる。夕方6時を回っており夕暮れの光だが、それでも海の色はまだまだ青い。

どこを見ても視界に入ってくる要素が普段見慣れない光景ばかりだ。そのせいか描いてみたいと思わせる場所があちこちにあって目移りしてしまう。そうこうしているうちに日没の時間も迫ってきたので、まずギリシャでの1枚目を描くことにする。

夜7時半ほどで日没になる。宿に帰るにはレストランやツアー会社、レンタカー店が並ぶ賑やかなエリアを通る。キューバならすぐにうるさく「ハローカモン!」だの「タクシーアミーゴ?」と声をかけられるシチュエーションだが、ここではそういう客引きはまったくない。少し拍子抜けしてしまう。

翌日も快晴だ。絵の道具を持ってフィラの町に向かうことにする。途中、宿の近くのパン屋でコーヒーとパンを注文しテラス席で食べる。コーヒーは鍋で煮込んだグリーク・コーヒーではなく、紙のカップに入っているエスプレッソタイプのものだ。

午前中のフィラの町を散策する。白い建物の多くは旅行者向けのヴィラやレジデントスイーツ(宿泊施設)だ。まるで迷宮のような中に角がとれて少し丸みをおびた家がひしめいており、現実の住まいというよりまるでテーマパークの中にいるような気分になる。

海の青さがとにかく濃く、今まで見たことのない色をしている。濃紺・褐色と白、遠と近、高と低。強いコントラストの世界だ。

フィラから海沿いに北のほうへ歩いていくとイメロヴィグリ(Imerovigli)という小さな町のあたりに着く。ここにはスカロス・ロックというゴツゴツと高い岩場があり、ここまで来るとサントリーニ島のカルデラ部分をよく見渡すことができた。

午後2時を過ぎたあたりで、イア(Oia/ Οία)の町に向かうことにする。フィラからはバスで20分ほどだ。イア行きは人気で乗車率が高く、すぐ立ち席になってしまう。他の3つの島でも毎日バスに乗ったが、行列が出来ているのはサントリーニだけだった。

曲がりくねった道を揺られながらガタゴト走ること20分、イアの町に着く。人の数がすごい!フィラ以上の観光客の数で、特にバス停留所から続く道は竹下通りのように混み合っている。

青いドームと白い町。よく見る情景だ。

水彩でも描くのに30分〜1時間ほどかかるのだが、そのあいだは実にいろいろな言語が耳に飛び込んでくることになる。中でもいちばん大きく目立っているのは中国語、次いでイタリア語、スペイン語あたりだろうか。

ランチはだいたいギロピタを買って歩きながら食べる。ギリシャ風ファーストフードでトルコケバブに似ており、具材をチキン・ポーク・ラム・ベジタブルから選ぶ。頼んで15秒ほどで出来上がる。3〜4€ほど。

よい情景に出会っても通行人が多すぎて描けないこともある。そんなときはカフェに入り、テラスから座って描くのがいい。ここは見晴らしが良さそうで、しかも窓際席が空いていたのですかさず飛び込んだ。コーラ1杯で1時間以上描かせてもらったが、イヤな顔はされない。

イアの町にあるギャラリー「Kyrkos Art Gallery」にて。Vassilis Kyrkosという地元作家の作品のみを展示していた。観光地の画廊にしてはずいぶんと上質の作品が並んでいて嬉しくなる。

翌日も朝からバスに乗り、イアの町に向かうことにする。サントリーニ島の路線バス(Local Bus)はいわゆる大型観光バスの車体を使っている。運転手の他に車掌がいて、走り出して少し経つと料金を徴収にくる。運転手も車掌も制服というものは特にないのか、普段着で仕事をしている。

午前中は出歩く人々の数もまだそこまで多くはない。今のうちにとばかりに水彩を何枚も描く。少し見慣れてきたとはいえ、海の色の濃さには驚かされる。

イアの町の西端のあたりまで行く。ここまで来ると喧騒も少なく静かなエリアだ。丸くコロッとした形の正教会は威容というものをほとんど感じさせず、絵の中に取り入れたくなる存在感がある。

描いていると中がどうなっているのかだんだん気になってきた。正教会は閉まっていて入れない場合も多いが、ここは入ることができた。ドームの内側には丸いステンドグラスが縦に並び、色とりどりに光っている。

アイスクリーム屋。店員も忙しいが、選んでいるほうも相当真剣だ。暑い中をたくさん歩いているとアイスクリームが美味しく感じる。

バスでフィラの町に戻り、夕方の落ち着いた光に包まれた海を描く。コントラストは弱まり、今度は中間色の世界だ。

あっという間に4日目。今日がサントリーニも最終日だ。宿の近くの文房具店で水彩絵具や筆が売っており、白い修正液や色えんぴつを買う。日本製やドイツ製も置いてあるが値段は高い。

前日の夕刻に描いたのと同じ場所からこんどは午前中の光で。太陽の位置によって情景はどんどん変化して見えるが、その違いを描くのも現場取材の楽しみのひとつだ。

他に家主さんお薦めのカマリ(Kamari)という町にも行ったが絵にはならなかった(きれいなビーチの町だった)。午後にアティ二オス港まで家主さんに送ってもらい、そこからSEAJETS社のSUPERJETという高速船でミロス島に向かう。港は島にやってくる人、島から出ていく人でいっぱいだ。

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滞在4日目〜6日目 ミロス島(Milos / Μήλος)

サントリーニ島を出た船は2時間ほどでミロス島のアダマンタス(Adamantas / Αδάμας)の港に着く。レストランやタヴェルナがあって、スーパーや雑貨屋があって、地元の子供が遊んでいて・・テーマパークのようなサントリーニ島からくると、ミロス島は実に落ち着いた普通の島だ。

アダマンタスはバスやタクシーも集まっている島の中心地でもある。まずはAthena Travelのオフィスに行き、予約していた宿まで連れていってもらう。部屋は港から歩いて15分くらいのところだ。リクエストしておいたら海の見える部屋にしてくれた。

部屋のバルコニーからの眺めも良いのだが、やはり外で散策したほうが良い構図に出会える。少し盛り上がっているアダマンタスの町を描く。中央には正教会のドームと鐘楼が見える。

ミロス島での目的のひとつが島の北にある港マンドラキア(Mandrakia / Μανδράκια)。宿からは4キロほど離れている。到着翌日の早朝に起きてGoogleMapを頼りに徒歩で向かったが、道は登ったり下ったりの連続で結局1時間以上かかってしまった。

8時ころマンドラキアに着く。港といっても住居はわずかで集落のような場所だ。色とりどりの倉庫が並んだ入り江に小舟が停泊している。入り江はグリーンがかった色で、逆に外洋はこれでもかというくらい青い。

描いていると地元の人が1.5リットルの飲料水をくれた。いつも飲み水と筆洗い用を兼ねてペットボトルを持ち歩いているのだが、あまりの暑さで飲みすぎてしまい、減っていたので非常にありがたい。なんでもカメラマンとのことで、後日ミロス島をモチーフとした美しい写真を数点メールで送ってくれた。

同じくマンドラキアの別の場所から。白く鋭角的な岩礁が印象的だ。ここに限らずミロス島には白い岩場が多かった。風が強く、外洋は白波が立っている。

マンドラキアからまた1時間ほど歩いていったん宿に戻り、今度は西の方にあるプラカ(Plaka/ Πλάκα)の町へ行く。Venetian Castleに至る狭い上り階段をハアハア言いながら上っていくと、教会を見下ろせるポイントに出ることが出来た。ミロス島のもうひとつの目的地だ。

たどり着いたのは午後6時を回っていて、夕日がだんだんと水平線に近づいていくので大急ぎで水彩紙ブックをひろげた。日没のスピードは早い。こちらも迷ってなどはいられず、スピードアップして制作。

周囲を見渡すと暇そうな旅行者たちが、日没の瞬間を狙ってぞくぞく集まってきている。ちょっとしたビューポイントなのだろう。そこで?と思うくらい危なっかしい場所で自撮りをしている人たちもいる。

確かに美しい夕照であった。雲が出ているともっといいだろうと思うが、夏のエーゲ海ではあまり雲は出ないのかもしれない。

アダマンタスのスーパー”Vidalis Super Markets”。夜9時まで営業しているので助かる。ギリシャは乳製品が豊富な国で、チーズ売り場もかなり充実していた。

スーパーでトマトやケーパー、レモンと塩を買ってきて、宿で夜食にトマトサラダを作って食べる。これで200円ほど。トマトは驚きの甘さ。ワンパターンの食事で野菜不足だったので目がさめるほど美味かった。

ミロス島には2泊のみ。プラカの教会を午前中の光で描きたいと思ったが、うまく時間が取れずに断念。予定通り翌日昼のフェリーでシフノス島へと向かうこととする。

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滞在6日目〜10日目 シフノス島(Sifnos / Σίφνος)

ミロス島から乗ったAGEAN SPEED LINESのフェリーはシフノス島の波止場であるカマレス(Kamares / Καμάρες)に着く。一緒に降りたのは20人ほどだ。小さな港町で、波止場のほかにはビーチにレストラン・カフェやホテル、レンタカー屋、お土産屋がいくつかあるくらい。

シフノス島の中心地は首都であるアルテモナス(Artemonas / Αρτεμώνας)と、すぐ南にあるアポロニア(Apollonia /Απολλωνία)の町だ。カマレスの港でバスを待っていると宿泊先の家主さんから電話が来て、アポロニアのバス停近くの薬局の前で待ち合わせることになった。バスは15分ほどで到着。家主さんともすぐに会えた。

車に乗せてもらって家に向かう。家主さんの車はどんどん町外れへと進んでいき、道も舗装されていない悪路へと変わる。Airbnbで探したシフノス島でので宿泊先は、海を見渡すプラティ(Poulati / Πουλάτη)の斜面にポツリと建つ一軒家だ。写真の右側が客室で、左側が母屋。

周囲には海と斜面くらいしかない環境だ。買い出し等には相当不便だが、こういう部屋には民泊でしか泊まれないだろう。インテリアも洗練されており、広々としていて快適な空間だ(猫も入ってくる!)。室内を描くつもりもあってここを借りたのだが、まずは外に出かけることにする。

島の東海岸に位置するカストロ村カストロ(Kastro / Κάστρο)へ向かうことにする。ヘビが出ないように祈りながら(よく出るらしい)、石ころや砂利、アザミのような植物をかき分けてGoogleMapを頼りに40分ほど歩く。

カストロ村が見えてくる。海に少し突き出た丘の上に建てられた白い町並みが目を引く。村へと続く海沿いの道はトレッキングコースにもなっていて、ストックを両手に歩いている旅行者を良く見かけた。

そのカストロ村の裏手にひっそりと存在している7人の殉教者教会(Church of the Seven Martyrs)。強い北風と荒々しい外海の白波が砕ける岩場にポツンと建てられている。今回ギリシャ行きを決めた理由のひとつが、この場所を絵に描くことだった。

強い風のなか描いているとフランス人カップルに話しかけられる。「サントリーニ島でもミロス島でも描いているあなたを見かけた」。偶然にも同じルートを旅していたわけだ。絵を買いたそうな素振りだったが、話を進めるのはなかなか難しい。

ギロピタや外食にも飽きてきたので、帰りにアルテモナスの町で食材を買ってきて宿で作ることにする。部屋にはコンロや調味料も置いてあるのでありがたい。猫と遊びながら外で食べる。島のパン屋は種類が豊富でパイや菓子パンが美味しかった。

翌朝は6時過ぎに起きる。プラティは島の東海岸に位置しているので、日の出を見ることができた。

家の周囲に居着いている猫も起きてくる。3匹いるがそのうち2匹はまだ小さく、なにかを期待してすぐに寄ってくる。こちらの一挙一動に興味津々の様子だ。

周囲が少しずつ明るくなってきたので室内を描くことにする。朝は右手の窓から朝日が差し込んできて美しい。窓の外ではオリーブの樹が風に揺られ、海の色が刻一刻と青くなる。

描いているとあっという間に昼を回ってしまう。室内画は切り上げて、まずはアルテモナスの町に向かうことにする。途中で昼食にギロピタを食べる。

牛や羊やヤギのいる脇を30分ほど歩くとアルテモナスの町に着く。そこから東に30分ほど歩くとカストロの町が見えてきた。

シフノス版鷲ノ巣村、カストロ村。カストロとはギリシャ語で城(Castle)のことを指すらしい。

昨日に続き、裏手にある7人の殉教者教会を描く。北風がビュービュー吹きつけ、せっかく描いた絵が飛ばされないように気をつける。

シフノス島3日目。宿泊先の門を出ると、すぐに見えるのがプラティの修道院(Panagia Poulati)。名所でもあるらしく訪れている旅行者もいる。さらに遠くにはカストロ村が見える。

カストロ村の殉教者教会もそうだが、この修道院もわざと環境の悪いところに建てている。そこでの日々も修行の一環なのだろうか。

プラティの宿には2泊し、シフノス島の後半は北端にあるヘロニソス(Cheronissos / Χερρονησος)に滞在することにする。家主さんのダフネとトマスが車でアルテモナスのバス停まで送ってくれる。ハーブ類やはちみつなどのお土産まで頂いてしまった。

ヘロニソスへ向かうバスは1日4便しか出ていない。乗客の数はいつも数人だ。運転手は自分のスマホからお気に入りの曲(ギリシャポップス)を大音量でかけながら運転する。

シフノス島の北端の村、ヘロニソス。村と言っても民家は数えるほどしかない。周囲は岩場に囲まれ、ヤギが生息する。今回の旅で一番の辺境だった。

数日前まで観光客でひしめいていたサントリーニ島にいたことを考えると、ずいぶん辺鄙なところまで来てしまったものだ。

部屋のバルコニーから日が落ちかけている海のほうを見て描く。

宿の1階は家主の夫婦であるニコとアルホンシアのがやっている伝統ギリシャ料理の食堂だ。夜はここで食べることにする。ムサカ(ギリシャ風ミートパイ)とグリークサラダ。

日暮れ時には近くで魚やタコを獲っていた漁船が港に戻ってくる。バルコニーからビールを飲みながらそんな情景を眺めているとだんだん眠くなってくる。

ヘロニソスもいい所なのだが、あまりにも何もないので、翌朝は島の南東に位置するクリソピギー(Chrisopigi / Χρυσοπηγή)へ行くことにする。アルテモナスまで1日4便しかないバスに乗り、そこからまた別のバスに乗りかえると着く。

ここの修道院もカストロ村の殉教者教会と同じく海辺に突き出た岩場に建てられているが、少し入り江になっており北から吹く強風はあまり届かない。

静かで落ち着いた場所にある。当然だが風が少ないと絵も描きやすい。波も穏やかで、地元の人も何人か泳ぎに来ている。ここに限らずシフノス島は実に教会や修道院が多い島だ。

クリソピギーのバス停。アルテモナス→ヘロニソスへと戻るバスを待つ。こういうシチュエーションでは他の旅行者と話すことも多い。たいていは①どの島から来たのか、②次はどの島に行くのか、③どの国から来たのかといった話になる。

あっという間にシフノス島での滞在も最終日の5日目となってしまった。ヘロニソスの宿のバルコニーからもう1枚描いて、午後のフェリーで最後の島、セリフォス島へ向かうため宿を後にする。ここでも家主さんからコーヒーカップのお土産をいただく(バックパックがだんだん重くなっていく)。カマレスの港までバスを乗り継ぎ、予定通りの時間にフェリーに乗船した。

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滞在10日目〜12日目 セリフォス島(Serifos / Σέριφος)

最後の島、セリフォス島へはシフノス島からザンテ・フェリーで向かう。1時間程で着くので、ずっとデッキに出ていた。シフノス島が遠ざかりセリフォス島がだんだんと近づいてくる。

フェリーはリバディ(Livadi / Λιβάδι)の港に到着。着いてみると山や岩場がほとんどで、セリフォス島はシフノス島以上にローカルな印象だ。港からは小高い丘の上に建つホラの村が見える。今回の滞在先だ。

リバディからバスに乗り、急な坂道を進むこと20分、ホラ(Hora/ Χώρα)の町に着く。メッセージのやりとりをしていたので、家主さんがバス停まで迎えに来てくれている。案内してもらった家は、中庭を中心にサロン、ベッドルーム、バス・トイレ、キッチン(写真)の4部屋からなる一軒家だった。

周辺を散策する。まず向かったのは、ホラの町の頂上にあるアイオス・コンスタンティノス教会。宿から真っ白い迷路のような路地を上っていくとたどり着いた。眼下には先ほどフェリーが着いたリバディの港が小さく見えている。

ホラの町の裏側から。町が夕暮れの光で美しく照らされている。風車が並んでいるだけあって、風が強く吹くエリアだ。絵を描くのには風はなるべく吹かないほうがありがたい。

朝食は近くのパン屋でパイ(ほうれん草、玉ねぎ、チーズ)を買って、近くのカフェに入って食べる。これはとても美味しかった。ここでもそうだが、コーヒーを頼むとミネラルウォーターがコップ1杯ついてくることが何回かあった。

ホラの頂上から逆にリバディの港を見下す。早朝なので太陽の位置ががまだ低く、海は白く光っている。遠くには前日までいたシフノス島のシルエットが見える。

朝の光が海面に強く当たり、まだ海が青くなりきる前の時間帯。風が強く、パレットや筆が飛ばされそうになる。

島の象徴、アイオス・コンスタンティノス教会も描く。午後2時くらいの時間で、逆光気味だった教会正面の壁に光があたり始めた頃だ。

ホラの町の頂上付近から下に降りる路地を見下す構図で。下り階段が入り組んでいて面白い。壁が白いために太陽光を思いきり反射して、反対側の側面までが明るく見えている。

セリフォス島ではホラの町にしか滞在しなかったのだが、少し歩くだけで情景がコロコロ変わり、そういう意味で表情豊かな場所だった。

島の路地には猫が多い。人を見かけると逃げるのもいれば寄ってくるのもいるあたりは万国共通だ。

最終日の夜。そういえばまだウゾー(ウイキョウから作られた蒸留酒)を飲んでいなかったと思い、カフェニオンで注文する。クセが強く好みのはっきり分かれる味だが、美味く感じる。明日は昼の高速船でアテネのピレウス港に入り、そのまま空港へ向かいパリ行きの飛行機に乗る予定だ。大きなトラブルにも出会わず、充実の旅だった・・この時はそう思っていた。

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滞在12日目〜13日目 アテネ(Athens / Αθήνα)

朝からひどい風の音で目が覚める。いままでの12日間ほとんど毎日風には吹かれたが、今朝のは今までとは違う。ホラのカフェに行っても椅子を全部畳んでしまっている。イヤな予感がよぎる。宿をチェックアウトし、リバディの港に向かう。高速船SEAJETSの窓口では「少し遅れるけど通常通り」と言われるが、今までにないくらいの風だ。強風で船や飛行機が欠航するのはギリシャではよくあると聞く。案の定、定時を過ぎてもぜんぜん来ない船を乗り場で待っていると、係の男が来て大声で「キャンセル(欠航)!、キャンセル!」と叫ぶ。やっぱり懸念は当たってしまった・・。なんとか午後3時発のザンテ・フェリーに振り替えてもらうが、ゆっくり進むフェリーではどう考えても夜8時のフライトには間に合いそうもない。

フェリーの中は同じように欠航して他の島々から乗ってきたらしい乗客で溢れている。まるで雨無し台風のような強風がエーゲ海全土に吹き荒れたようだ。こればかりはもうどうしようもない。今晩のフライトはあきらめて、翌日のエアチケットをスマホで検索する。昼頃発のエールフランス直行便が140€で出ていたので(残り2席)すぐに購入する。また夜のアテネの宿もBooking.comで予約した。

遅れに遅れてアテネのピレウス港に到着。地下鉄でアテネの中心地シンタグマ広場の近くまで行き、予約していたアリストテレス・ホテルという名前のホテルにチェックインする。しかし受付の男性(本当に哲学者のような長い髪と長いひげ)が深刻な顔で言うには、強風でギリシャ中から足止め客が殺到したらしく、実は部屋がもうないらしい。だが近くに空いているホテルがあるからそちらを紹介するという。同じ境遇の男性客と一緒にタクシーでそこに向かい、ようやく部屋に入りシャワーを浴びる。時刻はもう0時前だ。

予想もしていなかったアテネ滞在だが、せっかくなので夜中の街を少し散策する。シフノス島やセフィロス島とはまるで違う騒がしさと排ガスの匂いだ。土曜日ということもあって街には人が溢れている。朝からトラブル続きで何も食べていなかったので、So So Soというラーメン店へ。11€と高いがこれはなかなか本格的な味だった。

翌朝はホテルでビュッフェ式の朝食をいただく。山盛りのギリシャヨーグルトがあまりにも美味くて何度もおかわりしてしまう。フルーツと合わせると最高の味だ。その後シャワーを浴び、空港には早めに向かった。

 

機内から見るエーゲ海もやはり驚くほど青い。最後の最後に思わぬトラブルに見舞われたが、充実の13日間だった。