モロッコ

北アフリカ西方に位置するマグレブ諸国の国。マティスや鳥海青児、山下充など、この国に魅せられた画家も多い。
アジアやヨーロッパにはない新たな視覚体験を求め、初めて訪れたのは2003年。ガイドブックも読まずにいきなり行ったので、初めてのアフリカ、初めてのイスラム、すべてが新鮮でカルチャーショックだった。
パリから飛行機で3時間ほど。油彩の道具一式を持ち込んで制作。右を向いても左を向いてもすべてが絵画的に映り、朝から晩まで制作に没頭した。
滞在はマラケシュとエッサウィラ。取材対象としての魅力は大きく、その後合計4回訪れることになった。

マラケシュ(Marrakech)

マラケシュ(Marrakech)は1000年近くの歴史を持つ内陸の街。赤土の日干しレンガで造られた旧市街(メディナ)は全体的にピンク色で視覚的にもインパクトが強い。街全体に活力が満ちており、滞在しているだけで妙な高揚感を覚える。

旧市街はメディナと呼ばれ、店、住宅街、公共施設などが迷宮のようにひしめいている。歩いていると迷ってしまうこともしょっちゅうで、気に入った場所を見つけて描いたとしても、翌日はたどり着けないことが多かった。

かさばるため、最初の頃はカンヴァスは布だけを持ち込み、現地調達のボール紙で下敷きして地面に平置きして制作した。 描き終えるとガムテープで宿の壁に貼って乾燥するのを待った。

何回目の滞在からか、木枠4本ほどとあらかじめカットしておいた同サイズの画布をたくさん持っていき、描き終えると木枠から外し・また新たに張り替える、というローテーションでなるべく荷物が少なくなるようにした。

相当物珍しいのだろうか、フランスなどと違い、描いているとすぐに人が寄ってくる。子供などは飽きずに何時間もまとわりついてくるが、嫌がらせをされた事は1回もなかった。

ジャマ・エル・フナ広場から、マラケシュの象徴クトゥビア(モスク)を。このときは8月の滞在で気温は40度超。絵具も筆も熱くなって、金属部分は触れないほどだった。当然画面もすぐに乾いてしまう。

2010年ころからは飛行機へのオイル類の持ち込みが厳しくなってきたので、水に溶ける油絵の具(ホルベインDUO)で制作した。

マラケシュの安宿街は小さなホテルがひしめいている。屋上からの眺めも格別なので、いい構図を求めて数カ所を泊まり歩いた。

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エッサウィラ(Essaouira)

エッサウィラ(Essaouira)はマラケシュからグラン・タクシーかバスで5時間ほど。大西洋に面した海沿いの街だ。街は白と青が基調となっている。旧市街には車は入れず、埃っぽいマラケシュから着くとその空気の澄んだ様子がじつに心地よい。

 

海からの風が強い街で、カモメがたくさん舞っている。街全体が映画のセットのようだ。実際2004年に行った時はハリウッド大作「キングダム・オブ・ヘブン」の撮影をしていた。

 

ここでもホテルを泊まり歩き、屋上からのいい眺めを探した。

 

 屋上から海のほうを見て。屋根も煙突も実に不思議な形をしている。

 

エッサウィラの旧市街の構造はマラケシュに比べ単純だ。中心となる目抜き通り(Istiqlal大通り)にはいろいろな店が並ぶ。写真は精肉店の造形に惹かれて制作しているところ。絵の進行と同じくらいのスピードで大きな羊のブロックがみるみるうちに解体されていく。

 

大道芸やパフォーマンスの一種だと思われるのか、とにかく人が集まってくる。

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モロッコを描いた主な作品

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