パリとイル・ド・フランス

首都であるパリ市内と、その近郊やイル・ド・フランス地域圏で制作に訪れた場所を紹介。

パリ市内(Paris)

パリ市内ではノートルダム寺院周辺のセーヌ川沿いの情景と、街を眺望できるモンマルトルで描くことが多い。現場で油彩を制作するため、画材やカンヴァスは車に積んで移動し、目指す場所の近くに路上駐車して道具類を取り出し制作をスタートする・・のが理想だが、パリは渋滞がひどく、また年々路上駐車のスペースが減ってきているので、街なか制作のハードルが高くなっている。

セーヌ川とノートルダム周辺(La Seine & Notre-Dame)

4区からサン・ルイ島にかかるルイ・フィリップ橋の上から。ここは通行人もそれほど多くなく、歩道も幅広なので道具類も置きやすい。水面・空・建物・樹々と要素も多く、太陽の位置によってノートルダムにあたる光が刻々と変わっていくのも魅力だ。

 

サン・ルイ島のポン・マリー(マリー橋)。パリで最も古い橋のひとつ。5つあるアーチの形がそれぞれ不揃いで面白い。その奥に見えるのは上のルイ・フィリップ橋だ。描いているとセーヌ川を進む遊覧船の乗客がよく手を振ってくる。

 

バスティーユ近くのアンリ4世河岸(Quai Henri Ⅳ)から。右手にサン・ルイ島、中央にシュリー橋とノートルダム寺院背面を望んだ構図。ここも古来より多くの画家達に描かれてきた場所だ。■画像

 

ルーヴルの隣にあるカルーゼル橋を降りていき、河岸に出たところからの眺め。手前にポン・デ・ザール、その向こうにシテ島とポン・ヌフが見える。ここもよく描かれてきた定番の構図といえる。

 

ノートルダム寺院を背面から。後ろから見るとよくわかるゴシック建築の構造に惹かれて制作。ここはシテ島とサン・ルイ島を結ぶ橋の上で、よく音楽家たちが演奏していて賑やかな場所。

 

サン・ルイ島のオルレアン河岸(Quai d’Orléans)から。ノートルダム大聖堂はほぼ真後ろからの姿だ。柳の木が印象的だ。この半年後に火災で屋根が失われた。

 

パリでよく見かける落書きのトラック。いいところに駐車してあったので描くことに。休憩中?のドライバーが戻ってこないように祈りながら制作。

 

セーヌの夜景を描きたいが、手元も真っ暗では仕事にならない。ここは街灯の強い明かりが画面を照らしてくれたので画面がよく見えて助かった。

 

モンマルトル(Montmartre)

モンマルトルの丘から、柵のあいだから屋根越しのエッフェル塔を望む構図。ここも光が刻々と変わるのでカンヴァスは数枚を用意しておき、光線が変化したら次の作品に取り掛かるようにしていた。

 

同じくモンマルトル。サクレ・クール寺院前の階段下から。パリは起伏の少ない街なので、眺望できるポイントは限られている。ここは早朝は静かだが、昼ころから大勢の観光客が押し寄せる場所なので、なるべく昼前には退散したいところだ。

 

エッフェル塔(La tour Eiffel)

7区にあるサン・ドミニク通り。少しカーブしてわずかに傾斜がある賑やかな道と、その奥に立つエッフェル塔が印象的だ。時間帯による変化も大きく、カフェやホテルの看板など彩りも豊かで描いていて楽しい。

 

ここは通行量の多い場所だ。NICOLASという酒店の入り口前から描くのが構図上いいのだが、明らかに営業の邪魔になるので、店が休みの日曜日に制作するようにした。

 

 

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パリ近郊(Outside Paris)

サン・クルー国立公園(Domaine National de Saint-Cloud)

パリの南西、サン・クルー市に隣接して広がるサン・クルー国立公園。460ヘクタール(東京ドーム約100個分)の広さを持つ広大な公園だ。奥の方はまるで森のようだが、パリに面した場所に出ると街を一望できるポイントがある。エッフェル塔や、天気のいいときは遠くモンマルトルのサクレ・クール寺院も見渡せる。

 

ここの敷地は広大で、ジョギング、ピクニック、散策を楽しんでいる人たちがたくさん。車で入園するには5€かかるが、中に入ってしまうとゆっくりと制作できる。

 

手入れされた庭園が広がるエリア。樹々の表情が豊かで、緑色にいろいろなバリエーションが感じられる。奥の方は森のようになっている。

 

ムードン(Meudon)

ムードンはパリの南西部に位置する。上記のサン=クルーの隣町だ。ここも高台になっているので、パリが見渡せる場所がいくつかある。写真は、オプセルヴァトワール公園の前から民家越しにエッフェル塔を望む構図。

 

ブーローニュの森(Bois de Boulogne)

パリの西に広がるブーローニュの森。池周辺には人も集まり、散歩やジョギングする人たちで溢れている。松林とその隙間から見えるエッフェル塔を描いた。

 

同じくブーローニュの森の池のほとりから。木漏れ日のなか犬連れやボートで遊覧している人が集まり、イノセントな光景だ。

 

イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)

ヴェトゥイユ(Vétheuil)

クロード・モネが住み、描いたことで名高いヴェトゥイユ。パリから北西に約60キロに位置する小さな村だ。牧場の斜面を登ったところから少し見下ろす構図で描く。

 

村はセーヌ川のほとりにあるが、その対岸まで渡り、反対側から建物越しにヴェトゥイユを描いてみた。

 

ドゥルダン(Dourdan)

ドゥルダンはパリの南西約50キロのエソンヌ県に位置する街。Googleマップで見ていて面白そうだったので訪れてみた。そこそこ観光都市でもあるようで、街の中心に残る城壁跡は見どころにもなっているようだ。教会の尖塔と、そこへと続く道を描いてみた。

 

ドゥルダンの水路沿いの小道。鴨や白鳥がたむろしていて、のどかな情景だ。

 

コンフラン=サントノリーヌ(Conflans-Sainte-Honorine)

コンフラン=サントノリーヌはパリから20キロほど西の距離にある、イヴリーヌ県にあるセーヌ川の右岸の街だ。川沿いは坂道が多く起伏に富んだ造りになっており、良い構図もいくつか見つかった。

 

同じくコンフラン=サントノリーヌ。赤い屋根瓦、川の中洲に密集する樹木、遠くに広がる丘陵地帯・・パリからわずかに30分ほどでこのような情景に出会えるのが面白い。

 

ロンヴィレール(Longvilliers)

ロンヴィレールはドゥルダンに行く途中にある人口400人ほどの村。高速道路を降りたところでたまたま車内から見えて、その素朴な佇まいに惹かれて何枚か描いてみた。その姿は中世の時代からあまり変わっていないのではと思われる。

 

ビュリオン(Bullion)

イル・ド・フランス地域圏のイヴリーヌ県にあるビュリオン。フランス語で「金塊」という意味だが、実際の村は人口2000人ほどの素朴な佇まいだ。訪れる人もあまりいないようで、ゆっくり制作が出来る。このへんは馬の牧草地が多く、いたるところで馬を見かけた。

 

ビュリオンの馬の牧場脇に生えているりんごの木。なかなか立派な実をつけている。描いていると馬が近づいてきたので、りんごを砕いて口元に差し伸べると美味しそうに食べた。

クレールフォンテーヌ(Clairefontaine-en-Yvelines)

ビュリオンと同じくイヴリーヌ県にあるクレールフォンテーヌ。澄んだ泉という名のごとく、いくつもの池が点在している。天気がいいと、地元の人々が釣りをしたりピクニックを楽しんでいる。

 

同じくクレールフォンテーヌの池のほとりから。情景が水面に鏡のように映り込んでいる。

ボンネル(Bonnelles)

ビュリオンに隣接する町、ボンネル。その南西にある公園の中で、池に浮かぶ小島を発見したので描いてみた。

 

同じくボンネルの自然公園のなかにある、白樺に囲まれた池を描く。19世紀のカミーユ・コローが愛したような情景だ。

 

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